厚着の子供が増えている⁈ 子供に風邪を引かせられない母親たち

私が子供の頃より格段に冬の気温が低くなった訳ではないし、最近は大人用も含めどこのメーカーも暖かい肌着のラインナップは充実している。なのにタンクトップに半袖、長袖肌着、セーターなど重ね着は、上着を含めると更に増える子もいる。
しかし、学校の体育は冬でも半袖半ズボンだ。どうしても寒い子はトレーナーの着用を許可されているが、ほとんどの子がトレーナーを着ている。そして厚着の子ほど寒がっている。

気がかりなのは、その厚着が当初は本人の意志ではなかったことだ。殆どの子供は風邪を引かせたくない親心から、強制的に厚着をさせられる。本人ではなく親の体感で子供の服が決まる。そして厚着に慣れた子供は寒がりになり、本人が自ら望んで厚着をするようになる。
これでは自然の気温の変化に応じた体温調節機能を育てるせっかくの機会が奪われてしまう。何より自分の体の声を聴く回路が育たない。育たないということは鈍感になるので、自分の体と対話ができず心身の異変を捉えづらい。たかが子供の服でも重大な問題を招く恐れがある。
しかしそうだとしても、子供に体感として風邪を引かせる余裕が母親には無いのだ。ただでさえ、子供の体調が崩れると働いている母親は仕事を休まなければならないし、専業主婦だとしても家事が滞り家庭内が回らなくなる。
特にこのコロナ禍では家庭内の誰か一人でも体調不良(軽い咳や鼻水でも)ならば、通う場所が違っていても兄弟姉妹も欠席させなければならない。また通院や看病、関係各所への連絡という追加のタスクも増える。毎日のように学校から送られてくるコロナ情報に戦々恐々としている。

それに加え少しでも子供に風邪症状があれば、周囲からの「コロナじゃないの?」「上着着せなかったの?」「布団かけた?」など、何気ない一言がまるで母親の管理不足を問われているかのように聞こえてしまう。そうした母親を取り巻く環境が子供をますます管理しようとする言動に拍車をかける。
例年であればこの厚着問題はインフルエンザの流行る冬の期間内で終わっていた。けれどこのコロナ禍では、一年中似たような管理の行き過ぎた問題が続いてしまう。子供の全責任が母親に圧し掛かっている。
街中で子供を怒るヒステリックな母親の怒鳴り声は、重圧に押し潰されそうな母親たちの悲痛な叫びに聞こえてならない。(記カピバラO)
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