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リストカットの原因「心の痛みを分かってほしい」

リストカットの原因


心の痛みを分かってほしい
手首から血を流して、この血が意味しているのは正に痛みです。事実、知覚的にも痛いです。そして目に見えます。これは自分が他者に向けた悲痛なメッセージです。自分の心がどれだけ傷ついているかを訴えるための一つの手段なのです。傷ついた理由は人それぞれですが、根本は欲望の断念にあります。何より分かってもらいたいというのが強いのですが、わかってもらう唯一の手段である言葉が伝わらない絶望的状況から、リストカットという究極にして単純に目に見える形で訴えているのです。



共生・共感体験がない
リストカットをする子が置かれている状況は孤立です。家庭でも社会でも孤立していて、誰一人、心を分かち合える者がいない一人ぼっちの状態にあります。

共感に必要なのは「共に」ということです。共感を翻訳すれば、共に一つの自我になるという意味です。共感とは、「今まで自我Aと自我Bの二つがあった。別々なものが新たな自我aとして一つになる。そうして新たな一つの自我が出来た」状態をいいます。

リストカットの人達は同一性に痛覚を使います。この皮膚知覚において差異はありません。感度の違いはあっても、痛みを甘いという人はいません。痛覚には誤解と錯覚がありません。彼女達が目指したのは同一性です。痛いということは痛いとしか受け取りようがない。まずこの真実性を頼りにします。なぜなら言葉が通じないから、言葉はそれぞれの意味で取るから。確かなものは痛覚しかないのです。

共生・共感体験がないために、一度でもいいから理解してもらいたい、つまり自分の心の痛みを知って欲しいと強く願うのです。どう仕様もなくそうせざるを得ない、切羽詰まった状況に居るのです。

【関連コラム】
⇨ 病気と心のメカニズム(うつ・PTSD・心身症・器質障害など図式化)

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