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《「独りで淋しそう」男性会話力up講座より》

 

 

 

目次

「独りで淋しそう」

alone

【職場での事】
ラインから離れたところで、一人で作業をしていて、出来上がった部材をラインに持っていった時に、ある女性から言われた一言が、「独りで淋しそう」。私としては一人の方が心地良いので楽しく仕事をしていたから、「あの人は何を言っているのだろう?」と思った。
私は、何も返さず無視した。
何と返したらベストだったのだろうかと、講座で質問した。

〚講師〛  この言葉に何と返すか、会話で。
〚受講生〛 状況による
〚講師〛
状況によって違うという考え方では言葉が出なくなってしまう。他者はその状況を配慮しない。そこで言ってきた言葉にどう返すかが会話力になる。今の状況論を踏まえて一番適切な言葉、彼女の主体に問いかける言葉にする。

「えっ、どうしてそう見えるの?」 
簡単にいえば、「えっ? そう見える?」と言えばいい。
もし彼女が「そう見えるよ」と言ったとすれば、
「いや、俺は楽しくやっているんだ」と今の状況に関わる。


会話としては、「そう見える?」と返すのがベストだという。

人は見たいように見る

projection

〚講師〛
先ず、淋しそうに見えた主体、その彼女の言葉を構成する。投影の淋しく見えた理由を意味づける。相手に気付かせること。その相手は自分がどういう会話をしているのか気付かない。それを心理学は投影という。
そこで「そう見える?」と肯定したら、
「いや、僕は楽しくやっているよ。淋しいのは君じゃないの?」と、なる。

ここで彼女は自分の淋しさを理解してもらうために、問いかけた言語が活かされる。
会話は、自分がどういう意味で会話しているのかの、構成を知らせること。
気付かせることが大事。
しかし、自分が「こうだ」と決めつけていると、俺は淋しくないよと怒って感情的反応をしてしまう。
淋しい時に「淋しそう」と言われると、「この子はいい子だな」と錯覚する。「俺の気持ちが分かってくれるんだ」と勘違いする。「彼女は俺の事よく理解してくれている」と錯覚する。
こうして人間は疑似恋愛に引きずり込まれていく。


真実を語る

truth

〚講師〛
真実は何かという話になる。
翻って無反応という事は、全く自分は関心が無いことを、彼女に表明した。これを沈黙のメッセージという。
これは時に功を奏することもある。どちらでもないから誤解の関係に陥らないので、一番いいのは無視。これなら誤解の関係にならない。
このように「独りで淋しそう」は、真実に関係ない。○○君の主体の真実は、心地よく楽しく仕事をしている。ところが、彼女には淋しそうに見えた。彼女は願いを込めて語った。
「私も淋しいの。あなたも淋しいのね。淋しいもの同士仲良くしましょう。」
というメッセージが、その一言に込められている。

〚私〛 「俺が淋しかったらいいけど・・」
〚講師〛
だから恋愛が成立しない。その幻想に付き合うと恋愛が成立する。
その様に一つのフレーズに話し手・語り手の心が見えてくる。「そう見える?」は、否定も肯定もしない。これが真実の会話。これが理性と理知。そういう会話をする。
すると幻想のないことが相手に伝わる。「この人、真実しか見ないんだな」と。たった一つのフレーズの意味が「願いを込めて」正にこれに入っている。少しは返してあげたほうがいい。

〚私〛
「お前が淋しんだろうが一番に来ているので、他に言葉が探しようがなかった。
その言葉は、相手を傷つけると思って、ヤバいと呑み込んだ。言えなかった。」

〚講師〛
ヤバくない。傷つけない。本当に淋しかったら、言われたら嬉しい。「私の事解ってくれたんだ」になる。返って喜びになると思う。
会話には真実を語る勇気が必要。折角真実を握ったのだから、不親切。知っているのに言わないのは不親切。決して真実の言葉は人を傷つけない。真実が傷つけるというのは誤解。

真実は人を傷つけない。本当のことを言ってもらって怒る人はいない。寧ろ「理解された」と喜ぶ人は。


尊重する言葉

会話の基本は、そういう熟慮・配慮はしない。会話では余計な配慮はしないこと。大事なことは嘘や虚言を言うことではなく、真実を伝えること。
それにはその言葉が真実かどうか、自分なりの確信、自分自身への信憑性が問題になるが、理論に裏付けされた○○君のフレーズだったのだから、「俺は淋しくないよ。淋しいのはあんたじゃないの?」と会話をすればいい。

〚私〛 それは言えない。そこまで言えない。一寸言い方がきつい。
〚講師〛
私の発言が、皆さんの反感をかった。では皆さんに納得がいく、一人の女性、人間としてみた時のヒューマニズムとしての解答をする。

「君って優しいんだね」

彼女の「独りで淋しそう」という言葉に対して、全否定と断定をしない。淋しそうを尊重する。尊重するが前提にあり、彼女を喜ばさせなければいけない。
私は淋しいわけではないが、淋しくないとも言わず、そういう思いやりのある発言をしているのはあなただということをフィードバックする。「あなたの思いやりの目は素晴らしい」と。事実は何も語っていない。相手をしたくないなら、一回で終わらせなければいけない。
しかし、いい人だという印象だけは残したい。これが会話力。



セラピーで会話力up

なるほど、「君って優しいんだね」は万能な言葉だと思った。

私は、「決して真実の言葉は人を傷つけない」と言われたことが残っていて、帰途につくまでも、ついてからもずっと考えていた。

私は、自分の言葉が真実かどうか、自信がなく言えなかったのだ。私の意味が付与しているかも知れないと、自分の意味で相手を傷つけてしまうことが恐かったのだ。否、相手を傷つけることが恐いのではなく、自分が加害者になることが恐かったのだ。
女性に対して真実の言葉か、コンプレックスからの言葉か、確信が持てなかった。だから無言で返したのだ。ということは、真実の言葉だと確信が持てない限り、人と会話ができないと悟った。
真実の目を持たない限り、淋しくはないが、ずっと独りだ。

そういえば、セラピーで分析者に真実の言葉を告げられることは幾度かあるが、それによって傷つくことはなかった。その言葉を「ああ~そうか」とただ受け容れるのみ、そして棘だったその言葉が、解(ほど)けていくではないか。理解された喜びは確かにあったではないか。セラピーの時が唯一、会話している時だ。

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