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ブログ  精神分析家の徒然草 

《日常》徒然草-129

日本という国の独自性と良さは、自然の豊かさにある。それは緑と花と水である。山には木々が生い茂る森があり、鳥や動物達が棲み分けて、共存共栄し、人はその森と川と山と動物達と共に生き、暮らしている。

目には優しい緑と花の黄、赤、青、紫、ピンク、オレンジ色と取り取りに咲き誇って、人の心を和ませる。自然が豊かだとは、色彩に溢れている風景があることを指している。



そんな日本に住み、育ち、暮らしている堀江謙一氏は、83歳になって、又しても太平洋ひとりぼっちの航海を果たした。最年少でアメリカ西海岸へ無寄港単独航海を成し遂げ、今度は最年長のその記録を歴史に刻んだ。

小さなヨットに独り、来る日も来る日も空と海しか見えない、青と白の世界に波と波しぶきの中を揺れながら、全く変わらない色彩と風景の中にヨットと一体になってすごす日々は、一体何を彼に見せ、何を感じさせ、何の意味をもたらすのであろうか。

そもそも意味などと言っている人間は、太平洋をひとりぼっち渡ろうとなどと思わないので、到底堀江氏の心境を推し計ることなど不可能である。



同様の冒険を試みて失敗したS氏が言っていた。「見えるのは空と海だけだが、一瞬も飽きることはない。何故なら全く同じ風景はないから」と、そして「一瞬も同じ空、同じ海、同じ雲はなく、刻々と変化していくから、見飽きることはない」と言葉を続けた。

私達、いや私は一体何を見て生きているのだろう。日常の生活環境も風景も、実は海上と同じ、同じように見えて決して同じものではないと知っていながら、日常の風景からS氏の様な視点と感度を持つことはない。

私は何を見ているのだろう。きっとそれは現実ではなく、その現象の意味をみているのである。だから同じにみえてしまうのだ。

 

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