「子供時代が終わらない人へ」 格言-81
『ある筈の無い子供時代をノスタルジーの推進力によって、それを取り戻そうとする試みは、人間の無知がなせる最悪の愚行である。何故なら、虚無でしかない過去を、恰も在るかのようにして訪ねるから。
その人は、無尽蔵の未来に心を馳せる希望の推進力に身を任せた方が、幸福であることを知らない』
フロイトは「子供時代はもう無い」と言った。クライエントの声を聴いていくと、怒りや不満、不安や怖れの語りはいつも子供時代のエピソードが大半を占めている。
今や未来について語ることはほとんどないと言っていい。人は終わらない過去を引き摺りながら、それと対峙しながら生きている様をみる。その時今を生きて! 未来をみつめてと言わざるを得ない。
諦め切れない過去、捨て切れない思いを牽引しているものこそ、ノスタルジーである。