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ブログ  精神分析家の徒然草 

《 品性 》徒然草-153

人間から品性が失われたのはいつ頃からだろうか。社会的地位・身分を持った人は、人格者にして品格を備え、それなりの品性漂う佇まいをしているものと、昔の人間なら認識していた。

ところが、最近の世界の指導者は全くこれを失った。それは大統領が就任演説で語った「掘って、掘って、掘りまくれ!」である。

温存していた世界一の埋蔵量を誇るアメリカは漸く自国の化石燃料に手をつける覚悟を持ったらしい。他国の石油生産量の先が見えてきた今、漸くそれを掘って、稼ごうという気になったらしい。



見境なく地球の温暖化の推進に手を貸すことの気概もなく、自国の利益だけを求め、地球を破壊しようとしている。地球が人類の棲家でなくなれば、自分達国民も生き延びられない事の矛盾に気付いていないかのような暴言を吐いた。

これはかつて日本が世界大戦の時「一億玉砕」といった矛盾と同一である。アメリカはマーズ計画を進めていて、火星に本気で移住する計画を進めている。故に矛盾ではないが、それにしても火星に行ってドルが使えるのか私には判らない。

掘って、掘って、掘りまくっていいものは、無意識である。意識を越えて、無意識へと突き進む精神分析において、正に精神世界の無意識という、意識の下、深く閉じ込められているそれを、分析理論という掘削機で掘り進んでいく。



化石燃料のように、無意識も長い年月をかけ、圧力と燃料で変容させ、貯蔵してきたものだ。それを掘り出し精製して意識と情熱に分化して、自己を活かすエネルギーとする。それが精神分析である。

人間のこの世界での営みは、精神世界の構造、成り立ちと符合する。節度と抑制を利かせた意志と世界との親和性を持った、即ちこれこそ品性といい、それが人類のしあわせには必要である。

しかし、その品性を欠いた今、無節操に、また私利私欲のエゴイズムは自国ファーストとなり、他国と他人種との共存共栄の道を断ってしまった。

人類に明日はない。

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