《 心の喪失 》徒然草-148
が、それ以上に感じ入るのは、治安の良さである。夜、街を拳銃を持たずに歩け、女性が独りで夜道を歩くなど、海外ではもってのほかである。
その世界一の治安の良さが「闇バイト連続強盗」の新聞の見出しでふっとんだ。この恐怖は一般市民には及ばないものの、民家の少ない高齢者住宅に限られて狙われているが、それにしても犯罪史上例をみない奇妙な犯罪が、今日半ばで起きている。
この奇妙な事件の本質が、犯罪者に強盗する意志がなく、実行していることである。かつての犯罪はすでに計画・実行・動機は独りの犯罪者の中にあった。ところが、今の事件は、先ず犯罪を意志し、計画をする動機の部分に「指示役」という人物がいて、それをリクルーターに伝え「実行役、道具屋ら」をスマホで募集し、彼らを操り、強盗させる。独りで実行していた犯罪が分業になっている。これは何を意味するのか。
それは、「主体の喪失」である。即ち有り体に言えば、人間ではなく、主体(思考)を失った生物ロボットになってしまったゾンビのような存在が現れたことを意味する。
人間の心の崩壊が始まった前兆である。いや、もう既に深く日本人の心に侵入して、棲み始めているかもしれない。人間の心を持たない人間の姿をしている生物がそれと知らずに、インターネットのSNSやアプリを通して、日本人、いや世界中の人々、即ち人類の心を蝕んでいることの事実、証左、それが「闇バイト強盗」ではないか。
公害の元祖「水俣病」で「それは猫踊りから始まった」という言葉があるが、正に今、心の喪失症は「闇バイト」から始まったと言われる時代は、もう眼の前に来ている。