「平凡に生きたい人へ」 格言-144
『国境を越え、民族を超え、言葉を超えて人間は総ての人間と一つに成れる秘儀を持っている。それは、笑顔と涙である』
思想や主義、政治、文化は、国により民族によって異なる。文化や風習は人間の営みであるために、似通った処はいくらでもあるが、事、政治や思想、宗教の形は大きく異なり、戦いの種になってしまうほど相容れずに対立を生む。
その全く異なる民族の血の主義、主張は、国境をつくり戦いをもたらした。人間の歴史は暴力と血の惨劇が繰り返された、悲しみと恐怖の絵巻物になってしまった。
すべては感情的対立である。思想や哲学の問題なら、言語で、対話をもって象徴的解決がつく。それは論理と科学と数学の世界だから。しかし感情には知性はなく、ただ反応するだけの論理なき不条理の世界であるが故の、不合理な解決策しか見出されない。それが戦争だ。
その不条理を生み出す感情が、唯一普遍的意味を持ち、時代と民族を超えて人が共感し理解し合える感情表出は、笑顔と涙なのである。喜びと悲しみに国境はなく、血の幻想を超えて人と人の心をつなぐ唯一の紐帯である。