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ブログ  精神分析家の徒然草 

《新世紀》徒然草-113

突如私の眼の前に「天職です」を連発するクライアントが現れた。その言葉が私に反響して、「お前の天職は何だ」の問いを発生してしまった。

人は何の為に人として生まれて来たのか。そして生きる意味は何か。その問いはいつの世も人を悩ませ、哲学させ、答えの出ない永遠のテーマとして今尚存在している。お釈迦様は輪廻転生を説いたが、生まれ変わる因は、業とした。業(カルマ)が生まれ変わりの連鎖を支え、前世と来世が生まれ、人間の転生を構造化した。



私はいつもヨーロッパの土を踏み、大きく空気を吸い込んだ時に、「ああ懐かしい」親しみと慣じみある空気と臭いを一杯に吸い込んで、「ああ故郷に帰ってきた」と感じる。眺める風景や街並みが昔見た風景と想うのだ。何の異和感もなく、スーッと吸い込まれるように街の中に溶け込んでいく自分を感じる。

体型はイタリアで、車はドイツ、フランス、イギリスで、音楽はドイツ、フランス、イギリスで、思想はフランス、ドイツ、イギリスで、日本は食事しかない。オーディオもほとんどヨーロッパとアメリカで、僅かに日本製がそこに混じる。

いずれにしても、この体も思考も好みも感性も何もかもヨーロッパ製なのである。前世は紛うことなくヨーロッパ人である。それが今、日本人として生まれ変わり、前世を懐かしみながら生きている。心にも体にも欧米はしっくりくるのである。とは言え、日本及び日本人の文化風土に育ったが故に、それ成りに日本人的な処はある。



それは、古都京都・鎌倉・奈良の風景や仏教達に自分を投影してみることが出来るのは、純日本的仏教的思想そのものが我が血に流れていることを直感する。

私は天職を知り、それを持つために生まれて来たのではなく、ヨーロッパと日本文化を融合し、新たな思想と文明の礎を形成するために生まれて来たと思うようになった。人類の新世紀を迎える文明と文化・思想を生み出すために地球に立った。故に私に天職はなく、役目があるだけだ。

 

精神分析家 蘇廻成輪

 

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