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ブログ  精神分析家の徒然草 

《進歩と進化》徒然草-84

半導体不足で車・電化製品等の日常庶民が生活の基盤にしている工業製品が不足し、手に入りにくくなっている。直ぐに生活が不便になったり困窮する訳ではないが、それ成りに我慢を強いられている。

産業や工業が進歩して、科学や様々な技術が日進月歩でどんどん発展し、生活が豊かに、そして快適になった。もうこれ以上の進歩は必要ないと思えるのに、産業経済はもっともっとと利潤を追求し、進歩し、歩みを止めることはしていない。



その恩恵を受けて豊かな生活を手にした庶民は、本当に幸福になったのだろうか。そう疑問を感じる。何故なら、幸福は物質に依ってもたらされるものではなく、精神が創り出す、目に見えない心の世界の出来事であって、決して目に見える物質世界のことではない。それは「清貧」という言葉が最も端的に表している。

昭和の戦後は、所得倍増と文化生活を掲げて、日本人は働き続け、その幸せの象徴である、3C即ちcar、color TV、coolerを持つことだった。今ではそれらは夙に当たり前で、一家で複数台が一般的にまで普及し、3Cは死語になった。文化生活や文化住宅も死語になり、その先の豊かさに向かって突き進んでいる。

それら物質の進歩と経済社会の発展に、人の精神は追いつき、共に歩んでいるのだろうか。



スローライフ、ネイチャーやSDGとか、省エネ、CO削減と、その進歩を止め、むしろ逆行して、自然回帰を提唱し始めた。しかし、もう既に時は遅く、文明は後戻り出来ない所に来て、止めることも減らすことも放棄することも出来ず、温暖化は進み、氷河は溶け、地球はもう元に戻れない。

結局、物質文明の進歩に、心の進化が追いつかなかった結果が今なのである。気付くのが遅すぎた。そして、精神は死んだ。人類は死んだ。その証拠はロシアの侵攻である。今時、戦争だなんて、戻り方を間違えている。

 

精神分析家 蘇廻成輪


 

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