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ブログ  精神分析家の徒然草 

《ビッグ・バン》徒然草-39

コロナの後遺症でブレインフォグというのがあるらしい。それは頭に霧がかかった様に、ボーッとボンヤリした、正に頭の中に霧が立ち込めたように茫洋とした想いに把われている情態を言うらしい。
この対義語として明晰な思考がある。私の信条は、三島氏から教えられた明晰さだった。何より思考のキレを大事にし、論理力と知性と情態を計算して、今、ここに最善な方法を導き出す思考の速さこそ、明晰と定義した。

ところが、クライエントは良く、頭がボーッとして、フワフワして考えられないとか、勉強した事が頭に入らないという。これは言葉の使い方の誤りである。正しくは、「憶えられない」というべきである。そもそも学ぶ姿勢が出来ていないことを表わす、この言葉は。


その分析はとまれ、コロナ後遺症のこの症状では、大方のクライエントが昔から言っていた事である。ならば、その人達はコロナに感染していた事になる。故に既に免疫が出来ていて、コロナに感染しないと言って大笑いした。

これは笑い話ではなく事実である。原因がなんであれ、症状が同一であるこの事実を、医学及び脳科学はどう説明するのであろう。人間にとって大事なことは、現象であり、現実とするならば、症状は、紛れもない事実であり現実である。この世の現象は一体何なのだろうと考えてしまう。原因は別なのに、結果は同じである。
それは、究極において、すべての現象の原因は一つに集約できるのでは、と考えたくなる。宇宙の始まりは、ビッグバンという一つの事実の現象により45億年かけ、展開されて現在に至っている。還元すれば、すべての現象はビッグバンに起因して生じていることになる。


ビッグバンは「無」という特異な場から、その種であるエネルギーの塊がフワッと浮き上がり爆発したものである。即ち無から有が生まれたのである。これを考えてくると、何も持って無い事は、すべてを持ち、宿しているという「無一物・無尽蔵」に行き当たる。
無の中に無限の尽きる事のないものを持っているという逆説的言明こそ、宇宙の発生現場を言い当てている言語なのだ。仏教は宇宙の成り立ちを知っていたのだ。

私も一つの宇宙なら、この無一物・無尽蔵を生きていることになる。私と宇宙は一体なのだ。

精神分析家 蘇廻成輪

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