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ブログ  精神分析家の徒然草 

《詩》徒然草-38

3月のある日の朝刊に、「2035年にガソリンエンジンの新車の販売を欧州では禁止する」という記事を読んだ。正しくガソリンエンジンの終焉である。ガソリンエンジンが誕生して百年余りで消えてしまう。既存の車は残るにしても、もうあの6気筒の水平対向もV8も12気筒エンジンの咆哮は聴けなくなる。


少し下品な表現だが、ハイブリッドもEVも「クソ食らえ」とエンジン愛好家達は口を揃えて言っているだろう。ポルシェもフェラーリもランボルギーニもアストンマーチンも世界工業遺産として博物館行きになるだろう。後十数年でその現実もやって来る。その時私の体も終る頃だ。

この頃ふと想う。「この自分の体にいつまで乗っていられるのだろう」と。体は一つの魂の乗り物に想えてならない。いつまで運転していられるのだろう。私というドライバーは、愛車ならぬ、愛すべき体を失った後、どこに行き、何に乗るんだろうと、ふと考え巡らしている。
肉体はおろか、人類も地球も、宇宙すら消え、何が残るのかと考えれば、そもそも存在(三次元的)とは何か? の問いが出る。その答えは出来ない。論理も科学も全く人間の知が及ばない世界の出来事だから。

それ故私はこう考えた。今度は、私は私の魂を乗り物にして、次の旅に出ればいいのだと。それには、魂をポルシェやフェラーリの様に、常に前へ前へと技術の進歩と向上をし続け、進化を止めないこと。それが魂をガソリンエンジン車の技術を進化させ、現在の芸術品ともいうべき人類遺産を創り出させたのだ。


私は私の魂のモデル開発に知を傾けることにした。

その先ず第一歩として、時間軸の過去と未来を捨て、「今」だけにする。そして宇宙の声を聴く。光の先にある、何かを見つめる。そして想う。人間とは何か、を。又しても二十歳の時のあの決意の地点に戻った。そして分析を通して、物質的存在として決して視覚化することの出来ない、人間にしかできない心の営み、それは言葉で想いを創出する表現である、それは「詩」が書けることである。

AIに詩を書くことは出来ない。この心が創出する想いの源は、「愛」である。人間だけが持っている、愛こそが魂なのだ。

精神分析家 蘇廻成輪

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