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心のふるさと

全く歴史に興味がなかった私が、ふと時空の線上を遡りたくなった。
それはちょうど子供の手が離れた頃だった。私の住んでいる場所が歴史の宝庫なので、ここから探索が始まった。
過去に名を残している場所・物・人に触れることが楽しくなり、県外にまで進出し、本格的な山登りにまで発展した。春は新緑、夏は小川のせせらぎ、秋は紅葉、冬は樹氷と四季おりおりの自然と戯れた。

ある時、ラジオから枝雀の「青菜」という落語が流れ、その一節に "鞍馬から牛若丸が出でまして名も九郎判官(くろうほうがん)義経″ という洒落言葉を耳にしたのがきっかけで、鞍馬山に登りたくなった。
鞍馬山の本殿から貴船を結ぶ山道に「木の根道」と呼ばれる不思議な山道がある。ここは岩盤が硬いため、杉の根が地面の奥深くに張れず地面を這いつくばっている。ここで牛若丸は修業したといわれる場所である。

地面を這いつくばっている木の根と触れ合った時に、自然のたくましさと力強さを感じ、地面からフツフツと生きたエネルギーが湧き出ているような神聖な空気が漂っていたのを実感した。

この時、私は将来の目標も見い出せず、青菜に塩をかけたように全てに無気力で漫然と生きていた時だった。内的エネルギーは「0」、外的エネルギーの備給のために山登りをしてるんだと気づいた。その時、体の奥の方から湧き出てくる何かを感じた。
それはこう語っていた。

外的に頼らず自分でエネルギーを蓄えろと。
地下に根を張れなくても、地面を這いつくばって生きている杉の木の根のように。
それには、私の気の根を定着出来る場所の探索に切り換える必要があった。そんな想いでいた頃、私は精神分析に出会った。それは偶然な出会いから始まったが、今にして想えば、必然的な出会いだった。

精神分析を受けることで、歴史探索から始めた行動は、私が安心して気の根を張り成長出来る場所、すなわち心のふるさと探しに繋がった。

今、やっと心のふるさとに辿り着いた。(M.K)

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