《想えば、人は必ず縁に触れる》徒然草-1

それは晩年分析で得た知を本に書くつもりで、その執筆する庵を作ろうと想ったのだ。
そして、その場所探しをした。
ところがイメージに合わず、思案し、探し続けて三年目に、遂にその土地に出逢った。
探していた理想の恋人にめぐり会った心持ちだった。
その土地はT県の某所である。
イメージの第一番の条件は、小川のせせらぎが見えて、聴こえる地だった。
そのイメージ通りの地に出逢った。
諦めずに求め続け、追い続けた結果、三年かかったが、遂にその地に辿り着いた。
そしてそこに2000年7月執筆小屋を建てた。
その家を『詩涌碑庵』と名付けた。
無論「しにふぃあん」と読むが、ラカンのシニフィアンに当てたものだ。
こうして2020年までに三冊の本を出した。
すべては、イメージと私の想いが現象化へと導いてくれた。
これを仏教では「縁」という。
敢えてメタ言語を使わず、仏教用語にしたのか。
それを明らかにしていく道すがら、私は徒然なるままに、この詩涌碑庵で、
心の奥深くから涌き上がってくる文字一つ一つを映し取ろうとして、
徒然なるままにここに書いている。
精神分析家 蘇廻成輪